山形からお届けしている雪下野菜のこと

雪下白菜

雪下白菜
山形で野菜の宅配をはじめて30年近く。冬になると当たり前のように、雪から掘り起こした白菜や大根、キャベツをお届けしてきました。全有連さんから届く野菜はおいしいね、と云われては、それは生産者の腕であり、雪で保存していることや雪のなかでおいしくなること、など深く考えずにいました。あらためてこの野菜のことをまとめてみます。

雪下野菜とは・・・

雪下白菜の収穫作業

雪の中で貯蔵した野菜のこと。
雪の中は真っ暗闇、摂氏零度近く、湿度90%以上で「安定」した環境。
これが冬野菜にとって最高の保存条件。

※雪のない地域の方は、冷たいから保存できると思われますが、
実は、寒気がやってきても外気の影響を受けず「凍らない」ことが最大の利点。

雪の中で貯蔵した野菜は、どうして甘くておいしいのか。


まず、冬野菜は気温が低くなると細胞内に「糖」や「アミノ酸」「不凍タンパク質」などを増やし、凝固点降下(氷点降下)の仕組みのように、凍らないための自己防衛システムが働きます。この時期は山形ならば霜が降りるころの11月下旬から12月上旬。まだ雪で覆われる前が一番甘くておいしくなるのです。
この甘くなった野菜を一か所にまとめて、雪が降るのを待ちます。ちょうどこの頃にドカ雪が一度降ります。雪の中は、常に真っ暗で 温度は0℃近く 湿度は90%以上(ほぼ100%)。このなかで野菜は半休眠状態となり「呼吸をしない」ので、エネルギー源の糖(野菜の甘味)をほとんど使用しません。そのため、甘さはそのままで、青味が抜け、じっくりと熟成し、甘くやわらかく、おいしくなるのです。


※雪質によるものの30cm以上の積雪で外気の影響を受けず、40cm以上で、光の透過率はゼロ。
※雪中で貯蔵した野菜は糖度が増すなど食味が向上する現象が認められている。白菜やキャベツならば、外葉はしおれるが、生長点に近い部分の芯や糖度があがる。
※野菜が低温ストレスを感じると、特定の遺伝子が働き、糖でできた固体「デンプン」やアミノ酸でできた固体「タンパク質」を生成しない働きと、デンプンを糖に、タンパク質をアミノ酸に分解して液体にして細胞内の濃度をあげている。(冬になると野菜や雑草などの葉先が紫色になっているのを見かけます。これはポリフェノールを増やしているから。糖やアミノ酸を増やすことと同じ低温順化(低温耐性・凍結抵抗性)のひとつ)
※植物ホルモンバランスの変動、細胞壁の硬化、生体膜組成や機能の変動、細胞内における適合溶質(糖、アミノ酸、グリシンベタインなどの中性低分子可溶性物質)の蓄積、不凍タンパク質、氷核タンパク質など凍結現象に影響を与える特定のタンパク質や低分子化合物の合成、などがある(Steponkus et al. 1993)



雪の中で保存した野菜の呼び方


名称は、「雪下野菜」、「雪中野菜」、「雪室野菜」、「越冬野菜」、「寒中野菜」などと呼ばれています。

農研センターなどの過去の農業技術情報(1950年頃から1980年頃)では、
◎「収穫せずに」そんまま雪がかぶる「人参」や「キャベツ」などは
 「雪下栽培」や「雪下野菜」
◎「収穫して」寄せてから雪がかぶる「大根」や「白菜」などには
 「雪中貯蔵」や「雪中野菜」
◎「収穫して土に埋めて」から雪を盛るものは
 「埋土雪中貯蔵」
というキーワードが使われています。

雪の下にあるので「雪下野菜」だったり、雪の中から掘り起こすので「雪中野菜」のどちらもイメージが伝わる呼び方だと思います。

雪中野菜の歴史・・・


昔は野菜のほとんどが自家用野菜でした。農家さんやじっちゃん、ばっちゃん、関係者に聞いてみると、昔から栽培されていた野菜で、雪の中に埋めておくのは大根が多かったようです。
そもそも白菜やキャベツは昭和以降に普及してきた野菜で、白菜は納屋や土間に筵などをかけて保存しておくのが一般的だったようです。

雪中野菜の生産について、生産者への聞き取りをしてみたり、公的機関の資料によると、小規模(おそらく流通の未発達による地元需要)では昭和初期から行っていたようです。
実際には、車・トラクターの普及により野菜の生産が専業となり、生産規模が拡大し、さらに産地間の旬の違いによる有利販売を目的として、戦後になってから確立していったようです。文献ではキャベツが最も早く昭和20年ころには技術が確立しています(雪下かんらんと呼ばれていました。その後、暖地での春キャベツが出てきたことによって激減)。

「雪中貯蔵白菜」は昭和50年ころに越冬技術が発表されているので、自家用以外では昭和40年ころに確立したのではと考えています。産地は、山形のほか北海道や新潟、長野などの雪の多い地方で作られるようになってきました。
今では直売所が増えて小規模でも販売できることや、町おこし、ブランド作り的な取り組みとして残っています。

どうして山形が盛んになった?・・・


この雪を利用した保存方法が山形で盛んになった理由は、山形内陸部の村山地域のなかでも、山形市、山辺町、天童市、寒河江市は野菜の生産が盛んなうえ、平野部のため積雪量が少ないことがあります。雪は多くても50cm程度で、掘り起こすのはなんとかスコップで対応できるという地の利があります。ここから離れた場所はとても手で掘りあげることは不可能です。

雪の中での保存方法の分類



 1)雪中栽培・雪下野菜
  収穫せずに畑にそのまま → そのうえに雪が積もる
  キャベツ、ニンジン、カブ、山形赤根ほうれん草など
  ※豪雪地帯では一部収穫してコンテナ保管 
  ※春に収穫するものとして、ごぼうや長芋

 2)雪中貯蔵・雪中野菜
  収穫して寄せておく → 藁やシートをかける → そのうえに雪が積もる 
  大根、白菜、など

 3)雪中貯蔵2・雪中野菜
  収穫してコンテナなどに入れて → シートをかける → 雪で囲う または土中に埋めて雪が積もる
  りんご、じゃがいも、長ネギなど

 4)雪室貯蔵・雪室野菜
  室内に雪を貯蔵し、冷蔵庫とする方法
  米や蕎麦など長期保存もできる。雪の中ではないので多種多様。

 5)越冬野菜
  秋に発芽または定植をして雪の下で越冬させて、春に収穫する野菜
  キャベツ、ブロッコリー、小松菜(茎立ち)やほうれん草、パセリ

今年は長ネギを雪の中で保管してみます。とろとろになるか実験です。

雪下野菜のレシピ


よく聞かれますが、地元でよく食べる郷土料理に これというものはありません。
まずは、野菜のみずみずしさ、甘さを知るために生で食べてみてください。
それからシンプルな味付けのサラダに。その次に、これも野菜の甘さを感じられる、水を使わない煮びたしや野菜を蒸し料理や鍋を。野菜の甘さと滋養がスープに溶け出してとてもおいしいのです。昆布と塩のみで十分。素材の味を大切にするために、鍋の素やだしの素を使うのはもったいないです。白菜のとろける食感、大根のやわらかさ、キャベツや人参、カブの甘さは格別です。

雪下野菜がテレビで取材されるようになりました


インターネットが普及し、ブログでの情報や、ホームページで案内していたものは、どちらかというと、雪国の農業の紹介で、こんな風にして雪から掘り起こしてお届けしているんですよ、重労働なんですよ、というメッセージでした。
それが関係者の目に止まり、雪を生かした農業という点とその野菜がとてもおいしいということで、この雪下野菜がテレビや雑誌などで紹介されるようになりました。
山形に住んでいて、当たり前のことも、当たり前の味も、そんなにすごいことなのか!と、こうして気づくのです。全国有機農法連絡会の野菜の定期購入会員さんや、その野菜で育った子供たちも、ほかの冬野菜を食べたときにその違いに驚きましたとよく耳にします。

がんばってきてよかった

>河北町の高橋さんの雪中甘藍

テレビなどで紹介されて一番よかったことは、たくさん売れることではありません。(そもそも、重労働なので、収穫量は増えるどころか減っています)それよりも、今まで食べる人のために楽しんでもらいたい、と続けてきた雪下野菜が、テレビに映り、雑誌に掲載され、自分たちが評価されるからです。地元では、よくあんな大変なことを続けているな、と思われているなか、私たちや山形市の阿部さん、寒河江市の武田さん、今井さん、河北町の高橋さん、お日さま農園の西尾さん、村山市の高橋さんが、昨日テレビに出てたな!となるのだから少しスター気分が味わえて、その日のお酒がうまくなること、これからの心の支えとなることが一番うれしいことです。

今年も取材の打診や仕組みについての問い合わせはありますが、今のところはまだ放映予定はありません。テレビで放送されるとあっという間になくなってしまいますので、今のうちにその味をお確かめください。

雪下野菜山形高橋農園


食育に雪下野菜を

雪から掘り起こした野菜、というだけでもお子様への食育にもつながり、野菜嫌いの子供も興味を持って食べてくれたとも聞きます。どうぞこの野菜をお役立てください。
雪中白菜



テレビで紹介された山形の雪下野菜セット
http://zenyuren.shop14.makeshop.jp/shopdetail/004006000006/
雪の中で熟成させた大根・白菜・キャベツ・りんごなどをセットでお届けします。
旬の玉手箱「NAGOMI」では、毎年11月から3月頃までこの雪下野菜や旬の野菜がセットで届きます。