山形からお届けしている雪下野菜のこと

雪下白菜
山形で野菜の宅配をはじめて30年近く。冬の野菜といえば、雪の下から掘り起こした白菜や大根、キャベツをお届けしてきました。全有連さんから届く野菜はおいしいね、と云われて、それは生産者の腕と思っていました。

雪下野菜とは

雪下白菜の収穫作業
雪の中で保存(貯蔵)した野菜のこと。雪の中は真っ暗闇、摂氏零度近く、湿度90%以上で「安定」した環境。これが冬野菜にとって最高の保管方法なのです。

そもそも冬野菜は気温が低くなると細胞内に糖やアミノ酸、不凍タンパク質などを増やして(糖の塊のデンプンやアミノ酸の塊のタンパク質を生成させない・デンプンを糖にタンパク質をアミノ酸に分解する)、凍らないための自己防衛システムが働きます(氷点降下の仕組みと同じ)。さらに、雪の中で阪急民状態となり呼吸をしない(エネルギーである糖を使わない)ので、とても甘いのです。さらに保管中にじっくりと熟成しおいしくなるのです。
※冬になると野菜や雑草などが紫色になるのもポリフェノールを増やす低温耐性のひとつです。
(植物ホルモンバランスの変動、細胞壁の硬化、生体膜組成や機能の変動、細胞内における適合溶質(糖、アミノ酸、グリシンベタインなどの中性低分子可溶性物質)の蓄積、不凍タンパク質、氷核タンパク質など凍結現象に影響を与える特定のタンパク質や低分子化合物の合成、などがある(Steponkus et al. 1993))



名称は、雪下野菜、雪中野菜、雪室野菜、越冬野菜、寒中野菜などと呼ばれています。農業の技術情報では、土に植えられたままの人参やキャベツなどは「雪下栽培」や「雪下野菜」、収穫して寄せた大根や白菜には「雪中貯蔵」や「雪中野菜」、土に埋めてから雪を盛るものは「埋土雪中貯蔵」というキーワードが使われています。(雪室保管の米や蕎麦、日本酒などは専用の庫内に雪を入れて長期的に保存する方法)。

雪中野菜の歴史・・・昔はほとんど自家用野菜が主で、昔からある野菜で、雪の中に埋めておくのは大根がメインでした。昭和以降に広がってきた白菜などは納屋に茣蓙などをかけて保存しておくのが一般的でした。
雪中野菜の生産について、生産者に聞いたり、資料を見てみると、小規模(おそらく流通の未発達による地元需要)では昭和初期からあったようですが、実際には、車・トラクターの普及により野菜の生産が専業となり、生産規模が増え、さらに産地間の旬の違いによる有利販売を目的として、戦後から確立していったようです。文献ではキャベツが最も早く昭和20年ころには技術が確立(しかし、春キャベツが出てきたことによって激減)。雪中貯蔵白菜は昭和50年ころに技術が発表されているので、自家用以外では昭和40年ころに確立したのではと考えています。
産地は、山形のほか北海道や新潟、長野などの雪の多い地方で作られるようになってきました。今では直売所が増えて小規模でも販売できることや、町おこし、ブランド作り的な取り組みとして残っています。

雪の中での保存方法の分類


 1)雪中栽培・雪下野菜
  収穫せずに畑にそのまま → そのうえに雪が積もる
  キャベツ、ニンジン、カブなど 豪雪地帯では一部収穫してコンテナ保管

 2)雪中貯蔵・雪中野菜
  収穫して寄せておく → シートや藁をかける → そのうえに雪が積もる 
  大根、白菜、など

 3)雪中貯蔵2・雪中野菜
  収穫してコンテナなどに入れて → シートをかける → 雪で囲む
  りんご、じゃがいもなど

 4)雪室貯蔵・雪室野菜
  室内に雪を貯蔵し、冷蔵庫とする方法
  米や蕎麦など長期保存もできる。雪の中ではないので多種多様。

 具体的な方法は次回へ。

雪下野菜のレシピ

はよく聞かれますが、地元でよく食べる郷土料理はこれというものはありません。だから、まずはサラダが一番。それも味付けは、オリーブオイルと塩だけ。野菜のみずみずしさ、甘さを感じてみてください。その次にやはり煮込み料理。水を使わない煮びたしや蒸す料理。そのほか、鍋、シチュー、ポトフなど。野菜の甘さと滋養がスープに溶け出してとてもおいしいのです。

雪下野菜がテレビで取材されるようになりました

雪下大根の取材
インターネットが普及し、ブログでの情報や、ホームページで案内していたものは、どちらかというと、雪国の農業の紹介で、こんな風にして雪から掘り起こしてお届けしているんですよ、重労働なんですよ、というメッセージでした。

それが関係者の目に止まり、雪を生かした農業という点とその野菜がとてもおいしいということで、この雪下野菜がテレビや雑誌などで紹介されるようになりました。

山形に住んでいて、当たり前のことも、当たり前の味も、そんなにすごいことなのか!と、あとから気づくのです。定期宅配の会員さんや、その野菜で育った子供たちも、ほかの冬野菜を食べたときにその違いに驚きましたとよく耳にします。

がんばってきてよかった

河北町の高橋さんの雪中甘藍
紹介されて一番よかったことは、たくさん売れることではありません。(工業製品ではないので、数が少なく重労働なので、増えるどころか作り手は減っています)それよりも、今まで食べた人が喜んでくれるから、と続けてきた雪下野菜作りが、テレビに映り、雑誌に掲載され、自分たちが評価されるからです。地元では、よく雪室野菜を続けているな、と思われているなか、山形県では、私たちや山形市の阿部さん、寒河江市の武田さん、今井農園さん、河北町の高橋さん、村山市の高橋農園さんが、昨日テレビに出てたな!となるのだから少しスター気分が味わえて、その日のお酒がうまくなること。心の支えともなることなのです。

今年も取材の打診や仕組みについての問い合わせはありますが、今のところはまだ放映予定はありません。テレビで放送されるとなくなってしまいますので、今のうちにその味をお確かめください。

最後に・今年の雪下白菜はおいしいですよ

雪下野菜山形高橋農園
今年の高橋さん(山形県村山市)の白菜は、オレンジクインという、甘くて柔らかい品種。これを雪下白菜として出荷しています。やや小ぶりながらも、これは”当たり”です!すぐに煮えてトロトロ。サラダではぱりぱりで甘い。これから雪がもっと降ったらさらに熟成しておいしいはず。これは買いです!

テレビで紹介された山形の雪下野菜セットを販売中
http://zenyuren.shop14.makeshop.jp/shopdetail/004006000006/
雪の中で熟成させた大根・白菜・キャベツ・りんごなどをセットでお届けします。
旬の玉手箱「NAGOMI」では、毎年11月から3月頃までこの雪下野菜や旬の野菜がセットで届きます。

今年は長ネギを雪の中で保管してみます。とろとろになるか、傷んでしまうか、実験です。

食育に雪下野菜を

雪から掘り起こした野菜、というだけでもお子様への食育にもつながり、野菜嫌いの子供も興味を持って食べてくれたとも聞きます。どうぞこの野菜をお役立てください。

雪中白菜